一日に何度気づけるか!

 きくち体操ではよく「自分の体から気を離さないで!」と言います。

 自分の体に意識を向けている時間をできるだけ長くしたいからです。

 無意識の時のあなたの体はどうなっているでしょうか。 背中はまるくなっていませんか? おなかはだらしなくぼよーん(笑)としていませんか? 無意識だと、自分がそうなっていることにも気づきませんよね。 街を歩いていてウインドウに映る自分の姿にハッ!とできればいいのですが・・・。 いつもそうはいきません。

 無意識だとなぜいけないのでしょうか。 あなたがいつも、背中がまるく、おなかがぼよーんとしたままでいると、それが当たり前の姿になってきます。 ぼよーんとしたおなかのままではおなかの筋肉がどんどん弱っていきます。 おなかが弱ると腰やひざも弱ってきます。 体に意識を向けていないと、ひざが曲がり、腰が曲がっていっても、毎日少しずつ変わっていきますから本人は気づきません。

 そして、ひざが痛くなり、腰も痛くなっていくのです。 あなたは病院に行くかもしれません。 あるいは整体に通うかもしれません。 その時は一旦は回復するかもしれません。 でも、今のあなたの体を長年かけてそうしてきたのはあなた自身ですから、それまでと同じように、体に無意識な生活を続ければ、またもとの痛いひざや腰になってしまいます。 そこであなたは言うのです。 あきらめたように。「歳だから、しかたないよ。」

 本当にそうでしょうか。

 菊池先生はもちろんですが、きくち体操の生徒さんを見ていると、「歳をとったから」はまったく言い訳にはならないことが良く分かります。 素晴らしい先輩たちが、日々、年齢の重ね方のお手本を見せてくださっています。 これこそまさにアンチ・エイジング。 その鍵が「体に意識を向けること。自分の体から気を離さないこと。」なのです。

 いつも、体から気を離さないでいると、自分の体の変化に気づくことができます。 良くなってきているのが分かるのはもちろんですが、きくち体操の動きをしながら、「あっ、少し腹筋の力が弱ってきた。」 「ひざが充分にのびなくなってきている。」「足首回しがしづらくなってきた。」 というふうに自分で自分の体が分かってくるのです。 そして、その時にどうしたら(どういう動きをしたら)以前良かった時の状態に戻せるか、これ以上痛くならないように踏みとどめられるかが判断できるようになってきます。 それは、日々自分の体に真剣に向き合っているからこそなのです。

 あなたの体は、あなただけのものです。 その心地よさも、痛みもあなたにしかわかりません。 だからいつも意識を体に向けて、自分の体を自分のものにしていて欲しいのです。 ひざも、腰も、背中もおなかも、指先も、体全部とあなたの意識がつながるようにしていて欲しいのです。 そのために動くのが「きくち体操」なのです。 あなたはそのひざで、その腰でしか生きられないのです。 あなたの体でしか・・・。 このこと、当たり前すぎて、忘れていませんか。

 それでも私たちは四六時中体操をしているわけにもいきません。 なんといっても、忙しい毎日ですものね。 だからこそ、日常生活の中で体に意識を向ける努力をして欲しいのです。 台所に立つ時、おなかを引いて、肩甲骨を下げる。 電車に乗っている時に足の指をしっかり使って立つ。 手のひらを開いて指先1本1本に意識を向けてみる、などなど色々なことができます。 ただし、これができるのは、あなたが体に意識を向けた時だけです。 無意識ではできません。 ですから、『一日に何回気づくか』なのです。 あっ!おなか引かなきゃ。お尻の筋肉を寄せなきゃ。 肩甲骨下げよう!足の指を意識して立とう!というふうに。 あなたは一日に何回気づくことができますか?