時間をかけて治す

 健康に寿命を全うしたかったら、好むと好まざるとに関わらず、体に意識を向けて動かしていくしかない。こんなことを前回書きました。めんどうだし大変かもしれませんが、人類の歴史を考えてみたら、そうするしかないことがよくわかります。
人類の歴史と言ってもいろいろな考え方がありますが、我々と同じグループの新人類はおよそ20万年前に登場したと考えられています。

 20万年前から、人類は全身と五感とをフルに使って生きてきました。狩猟も農業も、健康な体と自然を感じ取る鋭敏な感覚がなければできません。人間力は今よりはるかに優れていたことでしょう。

 19世紀になるまでは、一部の裕福層を除いてこのことは基本的には変わりませんでした。ところが産業革命が起こって機械が使われだすと、人類の環境は大きく変わりました。機械がどこへでも運んで行ってくれるし、物を作ってくれるし、作業をしてくれます。それがこの200年余りで劇的に進みました。

 つまり人類は、99.999%の歳月を体と脳をフル稼働させて生きてきて、ついこの間、突然それがごっそり不要になってしまったわけです。

 考えてもみてください。これだけ急激な変化に生物は即座に対応できるでしょうか。
それがうまくいかないから年齢とともに体の不調が増え、病気も増え、脳もボケていくようになったのではないでしょうか。
生物が進化するには時間が必要です。500年後には人類は相当変わった生き方をしているかもしれません。でも今は、こうした不調に悩まされないよう自ら行動するほかはないんです。ここはひとつ、諦めて体操を始めようではあませんか。